蛇口の構造解説なぜ付け根がぐらつくのか
普段何気なく使っている蛇口ですが、その付け根がなぜぐらついてしまうのか、構造から理解すると原因と対策が見えてきます。ここでは、キッチンや洗面台でよく使われるワンホールタイプのシングルレバー混合水栓を例に、その構造とぐらつきが発生するメカニズムについて解説します。ワンホール水栓は、その名の通り、シンクや洗面カウンターに開けられた一つの穴に取り付けられるタイプの蛇口です。蛇口本体の下部からは、水とお湯を供給するためのフレキシブルホース(フレキホース)が二本伸びています。そして、蛇口本体をカウンターに固定するために、裏側からナットや馬蹄形のような特殊な金具、あるいは最近では工具不要で手で締められるクイックファスナーなどが使われています。取り付けの手順としては、まずカウンターの穴に蛇口本体を通します。この時、蛇口の底面とカウンターの間には、水漏れを防ぎ、安定性を高めるためのゴム製や樹脂製のパッキンが挟まれます。そして、カウンターの下側から、フレキホースの間を通して、固定用のナットや金具を締め付け、蛇口本体を上下から挟み込むようにして固定します。では、なぜこの構造でぐらつきが発生するのでしょうか。最も一般的な原因は、「固定ナット(または金具)の緩み」です。蛇口は毎日何度もレバー操作されるため、その振動が徐々に固定部分に伝わります。また、水やお湯を使う際の温度変化によって、金属部品がわずかに伸縮を繰り返すことも、緩みの原因となり得ます。これらの要因が複合的に作用し、時間をかけてナットが少しずつ緩んでしまうのです。これが、ぐらつきの最大の原因です。次に考えられるのが、「パッキンの劣化」です。蛇口とカウンターの間にあるパッキンは、ゴムや樹脂でできているため、経年劣化により硬くなったり、弾力性を失って痩せてしまったりします。すると、蛇口とカウンターの間に隙間ができ、固定力が弱まってぐらつきが生じます。劣化したパッキンは防水性も低下するため、付け根からの水漏れも同時に発生しやすくなります。さらに、まれなケースとして、「取り付け穴自体の問題」も考えられます。特に古い設備の場合、カウンターの取り付け穴の縁が欠けたり、腐食したりして、蛇口をしっかりと支えられなくなることがあります。