放置が招く高額請求グリストラップ詰まり重症事例
グリストラップの清掃を長期間怠ると、どのような事態に至るのでしょうか。これは、ある繁盛していたものの、厨房の裏方作業が疎かになっていた飲食店の事例です。その店舗では、開店以来十数年間、グリストラップの本格的な清掃が一度も行われていませんでした。日々のバスケット清掃すら不十分な状態で、油脂や食材カスが長年にわたり蓄積し続けていたのです。ある日、厨房の排水が完全に流れなくなり、複数の排水口から汚水が逆流し始めました。慌てて専門業者を呼びましたが、グリストラップの蓋を開けた担当者は絶句しました。内部は、長年の油脂と汚泥が層状に固まり、まるでコンクリートのようになっていたのです。第一層のバスケットは原型を留めず、油脂の塊に埋もれていました。第二層、第三層に至っては、もはや汚泥と油脂の固まりでしかなく、水の流れる隙間は完全に失われていました。通常のバキューム吸引や高圧洗浄では歯が立たず、作業は困難を極めました。作業員は、ノミやハンマーのような道具を使って、固まった油脂や汚泥を物理的に砕き、少しずつ除去していくしかありませんでした。さらに調査を進めると、詰まりはグリストラップ本体だけに留まらず、その先の排水管内部にまで及んでいることが判明しました。配管内部にも油がびっしりと固着し、管の有効径を著しく狭めていたのです。結局、グリストラップ内の固形物の除去に丸一日以上を要し、さらに排水管の高圧洗浄、場合によっては配管の一部交換まで検討される状況となりました。最終的に請求された料金は、数十万円という高額なものになりました。これには、長時間にわたる特殊作業費、大量の産業廃棄物処理費、そして場合によっては配管工事費が含まれます。さらに、復旧までの数日間、店は営業を停止せざるを得ず、売上損失も甚大なものとなりました。この事例は、グリストラップの清掃を放置することが、いかに深刻な事態と高額な費用負担につながるかを物語っています。